一、成城憲章の策定趣旨(前文)

私たちのまち成城は、大正期に成城学園の立地と郊外住宅地の開発とが結びついて、理想の学園都市をめざして誕生しました。成城には武蔵野の面影を残す緑豊かな自然環境に包まれた閑静で清潔な住宅地と、洗練された学園都市としてのイメージがあります。それには、住宅地創成に当たっての生け垣と庭園設置の申し合わせが、その後の閑静な街並み形成と人的交流に大きく貢献したと考えられます。また、学園の立地に伴う多くの教育者や知識人や芸術家などの居住があり、成城のまちは、文化の香り高い自由で民主的な空気を持ったまちでもあります。
しかし、時代の変化に伴って、成城のまちも変容しつつあります。居住者の高齢化や生活環境の変化などに伴って、最近では、新たな開発や建築の動きが急速に進んでいます。その結果、成城のまちには、敷地の細分化、緑や生け垣の減少、街並みと調和しない建物の出現、交通量増加による環境の変化、国分寺崖線などでの開発の進行と自然環境の喪失、コミュニティの変化などによる問題が起こり、旧来のまちの良さが失われつつあります。
そこで、私たちは21世紀の初頭に当たり、時代の変化に対応しながら、緑の保全と創出を基本とする成城らしさに溢れた街並みを継承発展させ、いつまでも住み続けることを願い、成城に住む人々の自治と共生の精神によって育まれていくまちづくりの基本理念を共有するために「成城憲章」を制定することとします。
この成城憲章は、成城に住む私たちの願いを広く宣言するものです。成城憲章は、法令として拘束力を持つものではありませんが、成城のまちの環境と暮らしを守るために、住民ひとりひとりが進んで遵守すべき規範を住民の総意として示すものです。


ニ、成城憲章がめざすもの

(1) 理想の学園都市と郊外住宅地の歴史を継承して、良好な住環境の保全をはかります。
(2) 国分寺崖線やまちなかの緑を守り育てていきます。
(3) 安心して楽しく歩けるまち、歩きやすいまち、歩きたくなるまちをめざします。
(4) 学校、住宅地、商業地が調和のとれた発展をするまちをめざします。
(5) まちは、成城を愛する人々の自治と共生の精神によって育んでいきます。


三、成城での建築や開発に伴って遵守すべき事項

この成城憲章は、成城1丁目から9丁目の全域及び砧7、8丁目の成城自治会員居住地を対象とします。なお、既に地区計画、建築協定、風致地区等が指定されており、より厳しい制限のある地区においては、その内容を遵守してください。
(注)なお、区民街づくり協定の範囲は成城1丁目から9丁目の全域とします。また本文中の「住宅地」とは、用途地域で商業地域や近隣商業地域以外の地域の意味です。

1、 低層住宅地の保全
(1)第一種低層住居専用地域での低層住宅を保全するため、現行の建築物の高さの規定の10m制限の緩和は差し控えてください。そのため、総合設計、建築基準法第55条の適用はしないものとします。


(2)また、「世田谷区中高層建築物の建築に係る紛争の予防と調整に関する条例」において中高層建築物として標識設置や隣接住民説明が必要な場合は、建築主は計画内容を成城自治会に知らせるとともに周辺住民へ周知につとめ理解を得るようにしてください。

(3) なお、別途の用途地域が指定されている地区においても、低層住宅地の街並みと調和するように配慮してください。

2、 敷地の細分化の制限
(1) 敷地細分化に伴っての住環境の悪化に対処するために、対象地域全域において成城憲章制定時の成城の平均的な敷地規模である250u以上の確保をめざしてください。


(2) また、相続時等地区住民の所有の敷地をやむをえず細分化する場合は、平均規模の半分の125u以上を確保することとしますが、事業者による敷地の細分化は250u以上の敷地面積の確保をめざしてください。

(3) この基準は世田谷区が定める基準より厳しいですが遵守することとします。なお、建て替え時において敷地面積が125u未満の場合は、現状のままで結構ですが、それ以上の細分化はしないでください。

3、生け垣や樹木などの敷地内の緑の保全
(1) 成城のまちの景観の魅力でもある生け垣や樹木のある緑に包まれた庭づくりを進めてください。また、保存樹木をはじめ既存の敷地内の樹木はできるだけ保全してください。


(2)細分化面積については、世田谷区の緑の基準を遵守するとともに、住宅地においては最低でも敷地面積の20%以上の緑を確保してください。なお、これらの緑化率の算定にあたっては、地上部での確保を原則として、屋上緑化や壁面緑化は含めないでください。

4、建築物の隣地境界線からの後退
(1) 防災や防犯上の配慮及びプライバシーを確保したゆとりある暮らしを守るため、住宅地における建築物は出窓やドライエリア及び地下構造物を含めて、隣地との敷地境界線から1m以上、最低でも50cm以上後退してください。


(2)また、隣地境界部分の垣根や塀は、近隣関係に配慮したものにするとともに、冷暖房用屋外機や給湯用ボイラーなどの設置にあたっても近隣関係に十分に配慮してください。

5、周辺環境に影響の大きい集合住宅の制限
(1)建築物敷地が路地状部分のみによって道路に接している敷地(路地状敷地や旗竿状敷地と呼びます)における長屋建て住宅の建設は、住戸数4戸以上又は路地状部分を除く敷地面積が1住戸あたり125u未満のものは、差し控えてください。


(2)また、不特定多数が居住するウィークリーマンションなどの短期滞在型アパート及び管理人不在のワンルームマンションなどの建設は、近隣とのトラブルを発生しがちなので差し控えてください。

6、大規模開発と街並みとの調和
(1)成城のまちでの大規模開発(敷地面積1000u以上を目安とします)は、国分寺崖線等の自然環境の保全や緑の確保及び低層住宅地の建築物との調和に配慮してください。


(2)また、大規模開発に伴って、駐車場の出入り等による交通混乱が生じないように配慮するとともに、ごみの集積場所や収集方法等の日常生活における地域社会との融和をはかってください。

(3) なお、集合住宅等の大規模開発を行う事業者は、周辺住民及び成城自治会に対して計画内容の十分な事前説明と情報提供を行ってください。

7、街並み景観や美観への配慮
(1)建築物や看板等の工作物は、成城の落ち着いた街並み景観や美観に十分に配慮ください。また、街並みと著しく不調和なけばけばしい原色系などの色彩の使用は差し控えてください。


(2)住宅地では、街並み景観を維持するために、生け垣以外の道路に面する塀はできるだけ透過性を確保していただくこととし、道路面から1.8mを上限にして、高く閉鎖的な塀はつくらないようにしてください。

(3) 建築物と一体となった塀や門扉は、道路境界線から50cmを目安として壁面後退を行い道路に接する部分の緑化を進めてください。

(4) なお、街路樹景観の保全のために、維持管理上のご協力や車庫出入り口の位置の調整等をお願いします。

8、国分寺崖線地域での地下室利用の制限と水源への配慮
(1)国分寺崖線等の斜面地における、大きな地形の変更を伴う地下室利用の建築物は、崖崩れ等の災害や自然環境への影響が懸念されますので、差し控えてください。



(2)また、国分寺崖線の湧水群の涵養(かんよう)や野川・仙川の治水のために世田谷区みどりの基本条例に基づく湧水保全重点地区とその周辺では、敷地内に雨水浸透や雨水貯留の施設設置を進めてください。

9、駐車場の周辺整備への配慮
(1)地域内に立地するコインパーキング等営業用駐車場は、周辺の街並み景観になじまない色彩や形態の看板や幟の設置は差し控えてください。また、過度の夜間照明は自粛していただくとともに、緑の確保や保全につとめるなど、周辺環境との調和に配慮してください。


(2)また、集合住宅などの駐車場の出入り口での交通動線の混乱がないようにしてください。なお、ピットを有する機械式駐車場は、危険防止のため道路及び隣地境界から1mを目安に壁面後退してください。



四、成城憲章の運用にあたって

1. 改正手続きと地区計画などの適用検討
この成城憲章は、成城地区の環境とくらしを守るための緩やかなルールを定めたものであり、今後、必要な事項について自治会班当番総会での議を経て改正が出来るものとします。なお、区民街づくり協定改正の手続きは世田谷区街づくり条例に基づいて行います。また、建築物についての制限を法律的に担保するために、必要に応じて個別地域で建築協定や地区計画の適用を推進していきます。

2. 建て主や事業者への要請
この成城憲章については、成城地区の関係権利者の理解と協力を求めていくために、広く普及啓発をはかります。また、成城憲章の内容に著しく抵触する建築物、工作物、駐車場などについては、世田谷区に協力を要請しつつ、建て主や事業者に対して改善措置を求めていきます。なお、不動産を処分される方は、新しい所有者にこの憲章に配慮するよう要請していただくことをお願いします。



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